PowerPoint数式 (UnicodeMath) 備忘録

自分用。随時加筆予定。

ドキュメント

www.unicode.org

特に気を付けるべきこと

  1. 空白 (以降 で表す) の有無によってしばしば挙動が変わる

    左: n(n+1)/2␣ / 右: n␣(n+1)/2␣
    意味的にまとまりがある部分は空白を開けずに書くと概ね意図通りに組版されるような仕様になっている。

    ({} ではなく) () で明示的にまとまりを指定することもできて、(n(n+1))/2 の出力は左の画像と一致する。右図で $n+1$ に括弧が付いていないのは () がこの用途で認識されるため。どうしても $\dfrac{(n+1)}{2}$ と表示させたければ括弧を二重にして ((n+1))/2␣ と書く。

  2. latex{}() に置き換える

    \int_(0)^(\infty␣)␣e^(-x^2␣)␣"d"␣x
    1 でも言及した通り、明示的なまとまりの指定には {} ではなく () を用いる。

  3. 複数行数式 (\cases, \matrix, \eqarray, ...) では改行に @ を使う

    (\matrix(1&0@0&1)␣)␣

数式モードへの入り方

  • Windows
    • US配列: Alt+=
    • JIS配列: Alt+;
  • 他: 知らない

フォント

  • mathrm ($\mathrm{ABC}\cdots$): " で囲う
  • mathcal ($\mathcal{ABC}\cdots$): \scriptA, \scriptB, ...
  • mathfrak ($\mathfrak{ABC}\cdots$): \fracturA, \fracturB, ...
  • mathbb ($\mathbb{ABC}\cdots$): \doubleA, \doubleB, ...
  • mathsf ($\mathsf{ABC}\cdots$): 不明
  • mathscr ($\mathscr{ABC}\cdots$): 不明

記号

「$\lor,\land$ を書きたいが \lor, \landが使えないので代わりに \vee\wedge を使わないといけない」というようなことがしばしば起こる。こういうときは、記号一覧表が公式ドキュメントの Appendix にあるのでこれを見るのが早い。

数学関数

$\sin,\exp,\log$ などは \ を付けずに sin␣x, exp␣x, log␣x, log_2␣x などとすればよい。平方根 $\sqrt x$ は \sqrt␣x でよいが、冪乗根 $\sqrt[n]{x}$ の記法には注意が必要で、\sqrt(n&x)␣ あるいは \root␣n\of␣x␣と書く必要がある。

\underbrace

\underbrace␣(x+\cdots+x)_(k)␣, \overbrace␣(x+\cdots+x)^(k)␣, \underparen␣(x+\cdots+x)_(k)␣, \overparen␣(x+\cdots+x)^(k)␣ でそれぞれ以下のようになる。

複数行にわたる数式

揃えたい位置に & を打つのは latex と同じだが、改行は @ で行うので注意。

  • \cases

    |x|=\cases(-&x("if␣"␣x<0)@&x("otherwise"␣))␣

  • \eqarray

    \eqarray(x_1␣&+&2x_2␣&+&3x_3␣&=&1@-x_1␣&-&x_2␣&-&x_3␣&=&2)␣
    左に { を付けたい場合はこう↓

    {\eqarray(x_1␣&+&2x_2␣&+&3x_3␣&=&1@-x_1␣&-&x_2␣&-&x_3␣&=&2)␣\close␣␣

  • \matrix

    \matrix(...)␣ (... の部分の書き方は \eqarray とかと同じ) とすれば行列が書ける。後述の括弧の大きさの自動調整を使って (\matrix(...)␣)␣, [\matrix(...)␣]␣, |\matrix( ... )␣|␣ とすればそれぞれ latex\pmatrix, \bmatrix, \vmatrix と同様のことができる。

括弧の大きさの調整

  • 自動調整 (\left, \right に相当するもの)

    (), {}, [], ⟨⟩, ||, ⌊⌋, ⌈⌉ などに関しては閉じ括弧の後に空白を打てば自動で大きさを調整してくれる。半開区間 [)Dirac notation ⟨|, |⟩ なども閉じ括弧の後に空白を打てば同じように上手くやってくれる。

    だめな場合もあって、例えば $\left] \dfrac{b}{a}, \dfrac{d}{c}\right[$ なんかは ]b/a␣,d/c␣[␣ としても上手く行かない。この場合は (\left, \right にそれぞれ対応する) \open, \close を用いて \open␣]b/a,d/c␣\close␣[␣ とすればよい。

    また下画像のように集合の内包表記をする場合などは | も左右の括弧 {} に合わせてサイズを大きくしたくなる。

    集合の内包表記

    これは素直に {x\in␣S\mid␣\eqarray(&y<x-1\vee␣&y>x+1)␣}␣ と書けば実現できる。ただし条件部分に記号 | が使われている (例えば "$d$ は $x$ を割り切る" などを d|xd\mid␣x と書いて条件部分に入れるなどする) と調整が思い通りにならないことがある。対処としては後から手動で修正するしか無さそう?

  • 手動調整 (\big などに相当するもの)

    括弧の大きさを自分で指定したい場合、例えば \open␣0(b/a␣,d/c␣\close␣0)␣ とすると括弧は強制的にデフォルトの大きさとなる。0 の部分を 1, 2, ..., 4 に変えるとそれぞれ latex でいう \big, \Big, \bigg, \Bigg に対応する大きさになる。